遠い、遠い昔のお話です―――
小さな村の片隅で、フォルトナは生まれました。
生まれてからずっと、彼女は泣き止みませんでした。
やがてその嘆きの声は、多くの人々を苦しめていきました。
このままでは、嘆きで世界が覆い尽くされてしまいます。
「100年経てば、フォルトナはいなくなるだろう」
そう考えた人々は、生きる希望をはるか空の彼方へと託しました。
地球という名の箱舟から、逃げ出す人々…
そして、一人ぼっちになったフォルトナは、 息絶えるまで泣き続けました。
―――こうして古き世界は終わり、 新たな世界が、始まりました。
そして、年月は流れ… 宙暦1484年。
捨てたはずの地球は上流階級の観光地となり、資源採掘は土星にまで及んでいた。
再び、人類は自らの繁栄を謳歌していた。
月面都市”ジョヴァンニ”
そこに、2人の逃亡者がいる。
1人は、聡明な少年。
もう1人は、かつて「勇士」を名乗った男。
終わることのない―――まるで輪舞のような―――悲しい戦いが続いていた。